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ファイナンシャル・プランニング技能士3級取得



現在、ファイナンシャル・プランニング技能士3級はCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)で実施されており、いつでも受験可能です。以前からファイナンシャル・プランニング技能士3級(以下FP3級)の知識が、個人事業主や終身雇用が当たり前ではない労働環境で働くエンジニアのライフイベントや将来設計に役立つと聞いていました。そのため、思い切って勉強し、資格を取得しました。

結論から言うと、FP3級の勉強で得られる知識は、非常に有益だと思います。取得しないにしても、学ぶのみでもお勧めしたいと内容です。以下に、学んで役立つと感じた内容をセクションごとにまとめます。


ライフプランニングと資金計画

最近では、老後のためや将来の結婚、子どもの教育費用などに備えてNISAやiDeCoで積み立て投資をしている人が増えています。しかし、その資金をどのように計画的に貯めていけばいいのか、また老後にどのように取り崩していけばよいのか、具体的に知らない人も多いのではないでしょうか。FP3級では、そのような資金計画を助ける各種の計算ツールである「係数」を学ぶことができます。

例えば、「現在の一定金額を一定期間で取り崩した場合の、毎年の受け取り金額を計算するための係数:資本回収係数」や、「一定期間後に一定金額を用意するための、毎年の積立額を計算するための係数:減債基金係数」など、様々な係数を学びます。これにより、計画的な積み立て投資や将来の資金の取り崩しについて、より具体的に考えることができるようになります。

また、住宅ローンや教育ローン、さらには複雑な社会保険制度や介護保険制度についても知識を得ることができます。結婚、出産、育児、親の介護など、将来のライフイベントに向けた準備ができる点は非常に大きなメリットです。将来の不安から様々なことに躊躇しているエンジニアも多いかと思いますが、FP3級の知識を活用することで効果的な計画を立て、将来の対策を講じることができるでしょう。また、失業時やパートナーとの死別、複雑な失業・退職・年金制度について事前に勉強することで、漠然とした不安を軽減することも可能です。


リスクマネジメント

生命保険、火災保険、地震保険、傷害保険、損害保険、賠償責任保険、それに付随する特約など、保険の種類は多岐にわたり、想像以上に複雑です。中には保険営業者に勧められるまま月々かなりの額を支払っている方も多いことでしょう。FP3級で保険に対する体系的な知識を学ぶことで、そのような思考停止状態から脱却することができます。

何事にも備えて保険に加入をすること否定するわけではありませんが、自分の生活状況やリスクに基づいて適切な保険を選ぶことが重要です。例えば、賠償責任保険は過失によるトラブルが多い人に適しているかもしれません。このように、自己判断で自分に合った保険を選べる素養が身につきます。また、保険の控除について正確に理解している人は少ないかもしれませんが、FP3級では年間の所得税や住民税の控除枠を意識して最大限に節約をしながら、適切な保険加入ができるようになります。


金融資産運用

GDPや金利など、経済の基礎的な知識や指数についても学べます。例えば、一致系列や遅行系列といった経済指標、雇用統計や平均株価を理解するための基礎知識が得られます。また、債券の所有期間利回りの計算、PBR、PER、配当性向など、専門的な経済指標も問題を通じて学び、その指標の意味を洞察することができます。

さらに、投資信託や外貨預金(TTS・TTBなど)、デリバティブ取引についての基礎も体系的に学べます。それだけでなく、これらの資産運用にかかる税金や、NISAなどの優遇税制についても実際に演習を通して学べるのは大きなメリットです。


タックスプランニング

税金システムは、統合課税や分離課税など、非常に複雑です。書籍を読んだだけでは理解しにくい部分も多いかと思いますが、FP3級では実際に演習を通して身につけることができます。

例えば、所得に対する様々な控除を学び、それを適切に申請することで支払う税金を大幅に減らすことができます。年間数万円から数十万円の節税効果は、日常生活の小さな節約以上に大きな影響を与えることができるでしょう。

また、ファイナンシャル・プランニング技能士の実技試験では、この税制の活用を中心に問われる試験です。金融商品のトレーディングテクニックや投資のテクニックが問われるわけではありません。投資の試験ではないことはご注意ください(ごく一般的な内容のみ問われます)。


不動産

不動産の売買は多くの人にとって、人生でそう多く経験するものではありませんが、自宅が賃貸であれ、持ち家であれ、それに関する法令や税制を知ることには意味があります。また、親や親戚が不動産を所有している場合、その譲渡や売却、相続に関する知識が必要になることもあります。将来、マイホームを購入する可能性がある場合も、FP3級で学ぶ知識が役に立つでしょう。

不動産に関する法令は驚くほど複雑ですが、特例・控除などを知ることで、マイホームの購入を考えたり、より効率的に不動産の運用(相続・売買)をすることができるようになります。


相続

相続はセンシティブなライフイベントかもしれませんが、いざその時が来た時には避けて通れない問題です。会社員の場合、故人を偲ぶための特別休暇は7~10日以内であることが多く、それだけでは全ての手続きを完了するには不十分な期間です。相続手続きは原則として10カ月以内に行わなければならず、司法書士や税理士に依頼する方も多いでしょう。しかし、十分な資金がない場合、自分で手続きを進めるための知識が必要です。

FP3級では、法定相続分や遺留分など、相続に関する基本的な法律や税金の仕組みを学べます。また、贈与税とその控除についても理解を深めることができます。故人の場合によっては負債も相続されることがありますので、相続に関する知識を事前に持つことは、そのようなトラブルを避けるためにも重要です。また、生前贈与や路線価の計算についても学べるため、資産を評価して相続税を正確に計算できるようになります。


エンジニアとして役立つ点

FP3級で学ぶ知識は、ビジネスの現場でも役立てることができます。例えば、保険業界、金融業界、不動産業界、法律業界、国(国民年金)や自治体(健康保険等)のSEとして働くエンジニアや、これらの業界向けのシステムを開発するシステムインテグレーターのエンジニアにとっても、有用な内容です。

私自身の経験からも、技術的な知識だけでは信頼を得にくい場面が多いと感じています。FP3級の勉強は、人生に役立つ知識を提供してくれるだけでなく、IT業界での主要な顧客である業界に関する包括的なビジネス知識を身につけることができます。


勉強方法

私が使用した教材は以下の2冊です。

教科


内容を覚えることに固執せず、理解することを重視して精読しました。

問題集


各セクションごとに演習問題を解くことで、知識を確実に定着させました。FP3級の試験は、択一式の学科試験と実技試験に分かれているため、両方に対応する問題集を使用しました。特に実技試験は、学んだ知識を実際のシミュレーションでどう適用するかを問われるため、問題集での練習が非常に重要です。試験の形式や難易度に慣れるために、繰り返し解くことが得点アップに繋がります。
自分の場合は、3回ほど問題集を解き、間違った箇所を受験前に再度確認しました。


まとめ

FP3級の取得を通じて、個人のライフプランやリスク管理、資産運用、税金、相続、不動産に関する幅広い知識を得ることができました。この知識は、日々の生活はもちろん、将来の大きなライフイベントに備えるためにも非常に有益です。特に、ITエンジニアのような労働環境が不安定な職種において、FP3級の知識は自分自身を守るための強力な武器となるでしょう。

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