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読書メモ:群論への第一歩 集合、写像から準同型定理まで




暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書」と「ゼロ知識証明入門」を通して、最新の暗号技術についてキャッチアップを行いました。開発された暗号モジュールを利用する場面においては、技術的特性の理解が中心となるため数学的理解はそこまで要しません。そのため、暗号技術やブロックチェーンの根幹を成す暗号理論という数学分野については、後回しにする日々が続いていました。数学書を読破し理解するには、よほどの数学的才能がない限り、膨大な時間が必要だからです。

とはいえ、このまま学ばずに人生を終えてしまうのではないかという焦りが芽生え、一大決心して「暗号理論と楕円曲線」を読むことにしました。すると、集合論や群論、その他の数学がまるでスーパースターのように次々と登場し、恥ずかしながらすっかり苦戦してしまいました。

そこで、レビュー評価の高かったこの本を補助的な参考書として購入しました。

結論として、Amazonレビュー通り非常にわかりやすく、感動しました。

定義が厳密な数学の内容を書くと逆に誤解を招きかねないため、詳細は控えますが、まず群論を理解するための基本となる集合から始まり、集合の関係を表す写像、そしていよいよについて学びます。そして、巡回群準同型対象群同値類と剰余類準同型定理群の作用と進みます。非常に丁寧な解説がされています。数学が不得意な人でも理解しやすく、定義に必要な前提知識がある場合は、都度再度説明がなされており、迷うことがありません。また、参照先ページも記載されているため、内容の流れを追いやすくリズムを崩さずに読めます。

数学書は脳のリソースを大いに使うため、読書には集中力が求められます。しかし、この本は平易な言葉で書かれており、構えずに電車の移動中や空き時間にも気軽に読み進められます。

著者の結城浩さんの他の書籍もぜひ読んでみたいと思いました。技術書だと端折られているテストにおける同値類の考え、プログラミング言語と集合、暗号理論の理解の基盤になると思うのでコンピュータサイエンスに関連する数学に悩んでいる方に強くお勧めできる一冊です。

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