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読書メモ:数学ガール6 ポアンカレ予想


数学ガール/ガロア理論(数学ガールシリーズ5)』に続き、シリーズの現時点での最新刊である『数学ガール/ポアンカレ予想(数学ガールシリーズ6)』を早速読みました。
大学レベルの数学力を身につけたいという思いから読み進め、ようやくこの巻までたどり着きました。
数学ガールのおかげで、かなり数式に強くなれたのではないかと思います。

本巻では、タイトルにもなっているポアンカレ予想には最後に少し触れる程度で、深くは扱われません。難易度が非常に高いためかもしれません。
それでも内容は非常に充実しており、ケーニヒスベルクの橋問題から始まるグラフ理論、メビウスの輪やクラインの壺、位相、非ユークリッド幾何学、多様体、微分方程式、熱方程式、統計、リッチフロー方程式と、幅広いトピックを学ぶことができました。

特に印象的だったのは、主人公が高校受験のために解いていた数学や物理の問題が、後々に登場する高度な数学とつながっていく構成です。また、4次元のサイコロなど、3次元に生きる私たちには直感的に理解しづらい概念に触れることで、新しい感覚を得ることができ、非常に楽しく、あっという間に読み終えてしまいました。

数学ⅢCの受験で苦戦した苦い思い出を思い出しつつも、心から楽しめる内容でした。

さらに、本作は前作から6年ぶりということもあり、ストーリ―面でも構成が非常に練られている印象を受けました。高校3年の冬という人生の節目における主人公の心の動きや、家族、ミルカさんとの関係の変化、そして後輩のテトラちゃん、リサちゃん、新たに入学してくるユーリちゃんとその彼氏といった登場人物たちの成長。数学同好会という形で高校内のバトンが次の世代へと受け継がれていく様子が、数学という学問の発展の歴史とも重なり、物語としても最後まで非常に楽しめました。

そして、待望の最新巻で完結編となる『数学ガール/リーマン予想』(現在予約受付中)が、本作から7年を経てついに今年8月に刊行されます。どのようなエンディングを迎えるのか、今からとても楽しみです。

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