読書メモ:ゲーム理論の思考法・ビジネス・人生を変える「戦略発想の技術」
ブロックチェーンやWeb3の世界では、人がどう行動するかを前提にした設計が重要になります。その背景にあるのが、インセンティブ設計やメカニズムデザインを支えるゲーム理論です。
ブロックチェーンのインセンティブ設計やメカニズムデザインで用いられるゲーム理論について、書籍で体系的に学びたいと思い、『ゲーム理論・入門 新版――人間社会の理解のために』(有斐閣アルマ/岡田章)を購入しました。しかし、想像以上に数学的な内容が多く、かなり苦戦しています。
そこで、より基礎的で分かりやすいと評判だった本書を、ゲーム理論の感覚をつかむ目的で購入しました。
本書は、厳密な数学的定義を最小限にとどめ、社会的事象とその背後にあるゲーム理論的状況を例に挙げながら、考え方を学べる内容になっています。数学的側面を本格的に学びたい人には物足りないかもしれませんが、利得行列を用いた「ナッシュ均衡」の見つけ方や、「囚人のジレンマ」「コーディネーションゲーム」「チキンゲーム」「マッチング・ペニーズ」といった代表的なゲームを、平易な言葉と具体例を交えて学べるため、非常に理解しやすい構成でした。
難易度を抑えつつも、後半では「ホテリング・ゲーム」などの応用的な内容に触れ、ラーメン店やコンビニがなぜ密集して出店するのかといった、直感的には分かりにくい現象をゲーム理論で読み解いていく点がとても興味深かったです。
ダイナミックゲームの章では、ゲームの木を実際に用いながら、なぜダイナミックゲームが単純な利得行列では表せないのか、またバックワード・インダクションによって最適行動を導く方法が説明されており、実際の問題に直面した際にも役立つエッセンスが詰まっていると感じました。
終盤では行動経済学的な内容にも踏み込み、在庫を売らずに処分するブランド戦略や、人がなぜ必ずしも合理的に行動できないのかを、ムカデゲーム、選挙、バブルといった具体例を通して学ぶことができ、非常に有意義でした。
本書を通じて、日常の裏に潜む「ゲーム的状況」を理解する助けとなり、不利なゲームに参加させられそうになっている場面や、悪い形のコーディネーション・ゲーム構造になっている状態などにも敏感になれると感じました。また、ネット上の断片的な情報で理解していたゲーム理論を、浅く広くではありますが、体系的に頭の中で整理できた点も大きな収穫です。
こんな人におすすめ
- ゲーム理論を数式ではなく直感的に理解したい人
- ビジネス、日常の意思決定を「戦略」という視点で捉えたい人
- 専門書に入る前のウォームアップとしてゲーム理論を学びたい人
